オフィスのフリースペースは、ミーティングや休憩などさまざまな用途で活用でき、生産性向上やコミュニケーションの活性化などのメリットが期待できます。導入時には目的やルールを明確にして、誰もが快適に使えるレイアウトを意識することが大切です。
本記事では、オフィスのフリースペースを活用するメリットや導入時の注意点、実際の導入事例などをご紹介します。
オフィスにおけるフリースペースの役割とは?
オフィスにおけるフリースペースとは、従業員が自席以外で自由に使える共有空間を指します。
特定の用途に限定されず、雑談や簡単な打ち合わせ、集中したい時の個人作業など、状況に応じて多目的に活用できるのが特徴です。
仕事だけでなく小休憩もできるカフェスペースやリフレッシュエリア、複数人が集まり情報交換や共同作業を行うコラボレーションエリアなど、その形態はさまざまで、従業員の働き方の選択肢を広げ、柔軟なワークスタイルをサポートする役割を担っています。
近年は、業務内容に応じて働き場所を選ぶABW(Activity Based Working)という働き方が浸透しつつあることもあり、フリースペースのニーズが高まっています。
次章では、フリースペースを有効活用することで得られる3つのメリットを解説します。
オフィスのフリースペースを活用する3つのメリット
①業務の生産性や創造性の向上につながる
同じ執務室や固定席で長時間作業を続けると、集中力の低下や思考の固定化を招きやすくなります。
フリースペースでは、従業員がその時の業務や気分に応じて最適な場所を選択することが可能です。例えば集中したいときは一人用のブース席を、アイデアを広げたい時は開放的なソファ席を利用するといった使い分けができます。
このように環境を切り替えることで、新たな視点を生み出すきっかけとなり、生産性や創造性の向上につながります。
さらに、働く場所を自ら選べるようにすることで日々の業務環境に変化が生まれ、モチベーションの高い職場づくりに寄与します。
②社内コミュニケーションの活性化を促す
固定席の場合、基本的に同じ部署・チームのメンバーが集まることになるため、他の部署や異なる業務を行うメンバーとの交流や意見交換が生まれにくい課題があります。
一方で、フリースペースは部署や役職を超えて従業員が自然に集まる場として機能し、社内コミュニケーションが活性化するメリットがあります。また、執務エリアでは業務に直結する会話が中心になりがちですが、カフェカウンターやソファ席といったリラックスできる空間では、雑談や思いがけない会話が生まれやすくなります。
こうした何気ない会話が、新しいアイデアの創出や部門間のスムーズな連携、課題解決のヒントになることも多く、組織の一体感や風通しの良い企業文化の醸成につながります。
③スペースを有効活用できコスト削減も期待できる
会議室や応接室、休憩室などのように部屋を用途別で分けると、利用されない時間帯にスペースが無駄になってしまうことがあります。
フリースペースは打ち合わせや休憩、個人作業など多目的に利用でき、複数の機能が一つの空間に集約されるため、スペースを効率的に活用可能です。これによりオフィス全体の省スペース化が実現し、賃料をはじめとする固定費削減にもつながります。
このように、フリースペースは生産性向上、社内交流、コスト削減という3つの効果を兼ね備えた戦略的なオフィスレイアウトといえます。
ここまでフリースペース導入のメリットを紹介しましたが、導入しても活用されなければ意味がありません。そこで、次章ではフリースペースを活用してもらうための注意点をご紹介します。
フリースペースが活用されない?導入時の注意点
業務に集中しにくい環境になる恐れがある
コミュニケーションの促進を重視しすぎると、周囲の会話や人の動きが気になり、業務に集中したい従業員の妨げになる恐れがあります。開放的な空間で複数の従業員が大きな声で話すと、騒音問題に発生しやすくなり、生産性の低下や従業員同士のトラブルにつながる可能性があります。こうした課題を解消するためには、オフィスレイアウトを工夫することが重要です。
例えば、会話を推奨するエリアと集中作業を行うエリアを明確に分ける「ゾーニング」を行ったり、視線を遮るパーテーションや観葉植物を設置したりすることで、それぞれのエリアの快適性を確保できます。
また、防音・吸音効果のあるパネルの設置や、会話時の声のボリュームに配慮することを求める注意書きやルール設定をすることも効果的です。
以下の記事では、快適でおしゃれなオフィスレイアウトのアイデアをご紹介しています。
関連記事:おしゃれなオフィスデザイン・レイアウト事例8選!内装デザイン会社が考えるオフィス作りのコツをご紹介
また、こちらの記事ではオフィスの快適性や印象アップに貢献するオフィスグリーンの取り入れ方について解説しています。
関連記事:オフィスグリーンは本当に効果的?本物かフェイクかの選び方、取り入れ方をデザイン事例とご紹介(記事No.7のリンクを設置)
利用ルールがないと一部の社員に占有される
フリースペースの利用に関する明確なルールがないと、特定の従業員が長時間にわたって場所を占有してしまい、他の人が使えないという問題が生じることあります。
これを防ぐためには、誰もが気持ちよく使えるための最低限のガイドラインを示すことが重要です。例えば、以下のような例が挙げられます。
- 長時間の占有は避ける(所定勤務時間8時間フルで使用しないなど)
- Web会議は専用ブースで行う
- 利用後はきれいに片付ける
上記のような基本的な項目に加え、「飲食OK」(もしくは飲食可能な席・エリアをゾーニングする)、「BGMを流しても良い」(ただし、音量に配慮する)など、利用を促進するようなルールを設けるのも効果的です。
こうしたルールを定めることで、全従業員が快適にスペースを活用できる環境を整えられます。
オフィスにフリースペースを設置する際の4つのポイント
オフィスのフリースペースは「ただ作る」だけではなく、目的に合わせた設計・レイアウト・快適性の確保が重要です。以下では、フリースペースを設置する際に押さえておきたい4つのポイントを解説します。
①利用目的を明確にする
フリースペースは企業ごとの課題やニーズに応じて役割が異なります。「部署間の交流を促進したい」「集中作業用の場所が必要」「気持ちを切り替えられる空間を提供したい」など、目的を具体的に定めることが重要です。そうすることで、どのような機能やデザインが必要になるかが明確になります。
曖昧なまま導入すると、誰にも活用されない中途半端な空間になりかねません。事前に社員アンケートや利用実態調査を行い、ニーズに即した方向性を設定することが大切です。
②目的に沿って設置場所を決める
フリースペースの利用目的に応じて最適な場所を選ぶことも重要です。
例えば集中作業を目的とする場合は、人の往来が少なく静かな奥まった場所や窓際が適しています。一方、部署を超えた交流やコミュニケーションを促したい場合は、動線が交差する場所や複数の部署からアクセスしやすいオフィスの中央部が効果的です。
このように執務スペースとの距離感を調整し、利用シーンや目的に適した配置を意識することで、利用率を高めることができます。
③集中とリラックスのメリハリがつく家具を選ぶ
フリースペースに設置する家具は、空間の使いやすさや雰囲気を大きく左右します。
デザイン性だけでなく、目的に応じた機能性を持つ家具を選ぶことが重要です。例えば、通常の座席と複数人で気軽に話せるソファ席を組み合わせることで、その時々の気分や状況に応じて最適な場所を選択できます。
全体のオフィスデザインと調和させながら、集中とリラックスといった用途ごとにメリハリを演出できる家具を選びましょう。
④カフェ設備や雑誌など「利用を促す仕掛け」を用意する
せっかくフリースペースを設置しても利用されなければ意味がないため、従業員が自然と足を運びたくなる工夫をすることが大切です。
例えば、本格的なコーヒーを楽しめるコーヒーメーカーや、各種のドリンクや軽食を購入できるオフィスコンビニなどを設置すると、気分転換や憩いの場として利用されやすくなります。また、観葉植物やアートなどを取り入れることで、居心地の良い空間を演出できます。
リラックスや気分転換を目的に立ち寄った従業員が交流し、そこから新たな発想や連携が生まれるような仕組みを整えることがポイントです。
以下の資料では、社員の出社のモチベーションを高めるオフィス設計やデザインの仕掛けをご紹介していますので、あわせてご覧ください。
お役立ち資料:“出社しなくちゃ“を”出社したい!”に変える。オフィス設計・デザインの仕掛け6選
【目的別】フリースペースの具体的な活用事例
以下では、実際にフリースペースを取り入れた企業の事例をご紹介します。
自然とコミュニケーションが生まれるエリア【株式会社HATARABA 様 大阪支店 事例】

オフィス仲介・不動産総合サービス業の株式会社HATARABA 大阪支店 様では、「支店としての一致団結を図りたい!」という支店長の強い想いから、人が活発に動き、自然とコミュニケーションが生まれるようなフリースペースを導入しました。
視覚(照明/グリーン/カラー)と聴覚(音)を工夫することでリラックスできる環境を演出。若手が多い大阪支店ならではの、インフォーマルなコミュニケーションを存分に発揮できる空間を実現しています。また、飽きのこないシンプルな空間デザインとアイデアを盛り込んだオフィスを構築しています。
新たな創造を生むフリースペース空間を構築!【kiCk inc. 様事例】

クリエイティブエージェンシーのkiCk inc. 様のオフィスでは、社員同士のコミュニケーションを活発にし、情報が行き交い新たな創造を生む空間を目指しました。そのためオフィスの中心に本棚、その周りには丸テーブルやハイテーブルを配置。そこに集まる人々のコミュニケーションを促進されるだけでなく、情報の収集・発信・交換ができるように工夫しています。

また、働く場所やスタイルを自由に選べるよう、大きなテーブルやフォンブース、ソファ席など多様な家具を導入し、フリースペースを構築しました。オフィス全体のカラーは、明るい木目調やグレー系を基調とし、家具の一部に黒を取り入れることで空間を引き締め、落ち着いた雰囲気に仕上げています。
フレキシブルに利用できるフリースペース【株式会社ボルテックス 様事例】

不動産業を展開する株式会社ボルテックス 様は、入居テナント様がミーティングや執務スペース・休憩スペースとしてもフレキシブルに利用していただけるようにフリーススペースを広く設けました。
オフィスの真ん中には休憩で使いやすい丸テーブルを、端には仕切りを設けたソファ席を設置し、プライベート感のあるリラックス空間を演出しています。さらに、仕切られた会議室の横にはコンセント付きの対面型デスクを設置し、軽い打ち合わせや作業に対応できる環境を整えました。こうした工夫により、利用者の気分や状況に合わせて自由に使える空間を実現しています。
また、フロア全体を見渡せるレイアウトとし、間仕切り壁にはガラスも多く取り入れることで、会議室や執務室へ外光が差し込みます。これにより、オフィス全体が明るく開放的な印象を演出しています。
明るい印象とにぎやかさを感じられる場を演出【株式会社コルモ 様 事例】

ソフトウエア・情報処理事業を展開する株式会社コルモ 様は、明るい木と白系のカラー、暖色のベージュ系のカラーを中心に構成した、明るさ・シンプル・清潔さを感じられる空間デザインを取り入れています。
リフレッシュエリア(フリースペース)は休憩やランチをする場として使いやすいように、白をベースとしたシンプルなマテリアルを中心に、家具・ペンダントライトに複数のカラーを取り入れたコーディネートとしています。これにより、明るい印象と賑やさを感じられる場を演出しています。
まとめ
オフィスにフリースペースを設置することで、社員の生産性向上・コミュニケーション活性化・スペースの有効活用など、さまざまなメリットが得られます。フリースペースは、出社回帰の流れが進む現代において、「出社したくなるオフィスの構築」に役立つ有効な手段です。
ただし、単にフリースペースを作るだけでは十分に効果を発揮できないため、利用目的に合わせた設計・レイアウト・快適性の確保が重要です。
イルミナでは、オフィスのコンセプトや働き方をヒアリングしたうえで、最適なフリースペース設計・施工をご提案しています。
「休憩スペースと打ち合わせを兼ねたい」「限られたスペースをどう有効活用すればいいか知りたい」など、具体的なご要望にも対応可能です。
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